自民党の高市早苗氏と立憲民主党の蓮舫氏。現在は対立する立場にある二人ですが、実は約30年前にテレビ番組で共演していた過去があります。
キャスター時代の関係から、国会でのマイナンバー論戦まで、二人の因縁の歴史を振り返ります。
高市早苗と蓮舫がキャスターとして共演していた番組とは
1980年代後半の深夜番組『プレステージ』
バブル末期の1980年代後半、高市早苗氏と蓮舫氏は、テレビ朝日の深夜番組で共演していました。
番組名は『こだわりTV PRE★STAGE(プレステージ)』。平日の深夜1時頃から明け方まで放送される生放送の情報バラエティ番組でした。
この番組は、政治や社会問題といった硬派なテーマから、超常現象や下ネタまで幅広く扱う異色の番組として注目を集めていました。
放送期間は1988年10月から1992年10月までの約4年間です。
水曜日の司会陣の布陣
司会者は曜日ごとに異なり、水曜日のメイン司会を務めたのは、作家・飯干晃一氏の娘でマルチタレントの飯星景子氏。その両脇を固めるサブ司会として、高市早苗氏と蓮舫氏が並んでいました。
当時の蓮舫氏は、クラリオンガール出身でタレント活動を始めたばかり。一方の高市氏は、米連邦議会研究員から帰国したばかりで、パンク風のヘアスタイルで登場するなど独特なキャラクターで話題を集めていました。
キャスター時代の二人の関係性
対照的なキャラクター
当時を知る放送作家によると、蓮舫氏は物おじせず積極的に発言するタイプで、時にはメイン司会の飯星氏よりも口数が多かったといいます。
一方の高市氏は、関西弁で鋭い突っ込みを入れる独特なキャラクターでしたが、司会者としては蓮舫氏に押され気味だったようです。
番組では、高市氏が発言している最中に、蓮舫氏が話をかぶせて自分のペースにしてしまう場面もありました。そうした時、高市氏がしらけた表情をしていたのを関係者は覚えているといいます。
番組外ではほとんど交流なし
年齢にして6歳ほど離れていた二人。番組関係者によると、蓮舫氏は飯星氏を「姉貴分」として慕っていましたが、高市氏とは番組外でほとんど口をきいていなかったそうです。
特段仲が悪いというわけではなかったものの、ソリが合わないのは明白でした。この時代から、二人の相性の悪さは既に表れていたのかもしれません。
それぞれのキャリアパスと「1位」へのこだわり
蓮舫氏のキャリアと「2位」発言
番組終了後、蓮舫氏は報道・情報番組のキャスターとして活躍の場を広げていきます。そして2009年、民主党政権下で事業仕分け人に抜擢されました。
この事業仕分けで、蓮舫氏は次世代スーパーコンピューター「京」の開発予算について質問。「世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃダメなんでしょうか」という発言が大きな波紋を広げることになりました。
この発言は、予算の使い道や開発の意義を問うものでしたが、メディアでは「科学技術を軽視した発言」として大きく取り上げられ、蓮舫氏を象徴する言葉となってしまいました。
高市氏のキャリアと「1位」への信念
一方の高市氏は、大学教員などを経て1992年に参院選に出馬(落選)。翌1993年の衆院選で奈良県全県区からトップ当選を果たし、政治家としてのキャリアをスタートさせました。
当時、高市氏は雑誌の取材で「1等賞になれないのがわかってることに一生かけるのはバカバカしい」と語っていました。これは学生時代に志したロックバンドデビューを諦めた理由を問われての答えでしたが、「1等でなければダメ」という強い信念が伺えます。
そして2010年11月の衆院予算委員会で、高市氏は蓮舫氏の「2位じゃダメなんですか」発言について、「こういうご発言に対しても、何かおかしいと思っていた」と苦言を呈しています。
30年以上前のキャスター時代から、二人は根本的に「相いれない」関係だったのです。
国会でのマイナンバー論戦で再び火花
2020年6月の参院予算委員会
蓮舫氏も黙ってはいませんでした。直接対決の場となったのが、2020年6月の参院予算委員会です。マイナンバーカードのシステムトラブルを巡り、蓮舫氏が当時総務大臣だった高市氏に詰め寄る場面がありました。
蓮舫氏は「そもそもマイナンバーの目的は何ですか」と執拗に質問。マイナンバー制度の運用に問題があると追及する構えを見せました。
高市氏の巧みな切り返し
ところが高市氏は、涼しい顔で切り返しました。
「このマイナンバー法は、民主党政権の時に大変ご苦労して立派な法律を作られたものでございます。解散で残念ながら廃案になりましたけれども、自公政権になってから、民主党、自民党、公明党でよくお話し合いをして作っていただいたものでございます。その目的については、もしかしたら蓮舫委員の方がお詳しいかもしれませんが…」
マイナンバー法は民主党政権時代に作られた制度であることを指摘し、「蓮舫委員の方がお詳しいのでは」と巧みに論点をそらしたのです。

マイナンバーの目的はなんですか?

蓮舫議員の方がお詳しいのでは。

、、、。
国会担当記者からは「論戦では高市氏が一枚上手という印象を植え付けました」との評価が出ました。
二人の「負けず嫌い」な性格
実は二人とも、筋金入りの「負けず嫌い」です。
蓮舫氏は1991年、タレントデビュー後の雑誌取材で「いまはライバルはいないですが、いずれ現れるだろう」「負けず嫌いですから、1つ叩かれたら2つ叩き返します。徹底的に戦うつもりでいます」と語っています。
高市氏の「1等でなければダメ」という信念と、蓮舫氏の「叩かれたら叩き返す」という姿勢。30年以上前から続く、二人の相いれない関係性が、国会の場でも繰り広げられているのです。
まとめ
高市早苗氏と蓮舫氏の関係は、1980年代後半のテレビ番組共演時代から、必ずしも良好ではありませんでした。
キャスター時代のソリの合わなさは、政治家となった現在も続いているようです。スーパーコンピューターをめぐる「2位」発言や、マイナンバー論戦など、国会での激しいやり取りの背景には、30年以上前からの因縁があったのかもしれません。
対立する政党に所属する二人ですが、その関係性の原点は意外にも深夜番組の司会席にありました。あの頃から変わらない、それぞれの強い信念と負けず嫌いな性格が、今日の政治の場でも火花を散らしているのです。





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