日中関係が複雑化する中、日本の外交の最前線で活躍する金杉憲治氏。
現在、駐中国大使として重要な役割を担う彼は、一体どのような人物なのでしょうか。40年以上にわたる外交官キャリアの中で、アジア外交のエキスパートとして数々の要職を歴任してきました。
本記事では、金杉憲治氏の経歴から現在の活動まで、その人物像を詳しく解説します。日本外交を支える重要人物について、ぜひ最後までご覧ください。
金杉憲治氏のプロフィール
金杉憲治（かなすぎ けんじ）氏は、日本を代表する外交官の一人です。
- 氏名：金杉憲治（かなすぎ けんじ）
- 生年月日：1959年9月11日
- 出身地：東京都豊島区
- 年齢：65歳（2025年11月時点）
- 学歴：東京都立竹早高等学校卒業、一橋大学法学部卒業（1983年）
- 外務省入省：1983年
- 現職：駐中華人民共和国特命全権大使（2023年10月就任）
金杉氏は現在、日中関係の重要な架け橋を担う立場にあります。
学生時代から外交官への道
金杉氏は一橋大学在学中、一橋祭運営委員会に所属し、他大学の学生たちと積極的に交流していました。学園祭の運営や、高尾山へのハイキング企画などを通じて、後の外交交渉に活かされる調整力やコミュニケーション能力を培ったとされています。
1983年の外務省入省後は、様々な部署で経験を積みながら、着実にキャリアを築いていきました。
主な経歴とキャリアハイライト
外務省での要職歴任
金杉氏は外務省入省後、以下のような重要なポストを歴任してきました。
- 1998年 総合外交政策局総務課首席事務官
- 1999年 総合外交政策局総務課企画官
- 2002年 北米局北米第二課長
- 2003年 外務大臣秘書官事務取扱
- 2009-2011年 在外公館課長として東日本大震災時の国際支援調整に尽力
- 2014年 在大韓民国日本国大使館公使
- 2015年 外務省経済局長
- 2016-2019年 外務省アジア大洋州局長
- 2019-2020年 外務審議官（経済担当）
アジア大洋州局長時代の功績
2016年から2019年までアジア大洋州局長を務めた期間は、金杉氏のキャリアにおいて特に重要な時期でした。この時期、北朝鮮による核・ミサイル開発問題への対応や、六者会合の日本側首席代表として国際社会との調整に携わりました。
また、冷え込んでいた日中関係の改善にも尽力し、2014年には安倍晋三元首相と習近平国家主席の初会談実現に向けて重要な役割を果たしたとされています。
駐インドネシア大使時代
2020年11月、金杉氏は駐インドネシア特命全権大使に就任しました。この人事は、外務審議官経験者としては30年ぶりの大使職就任として注目を集めました。
菅義偉内閣が推進した「自由で開かれたインド太平洋戦略」のもと、インドネシアとの関係強化に取り組みました。興味深いことに、同時期に北朝鮮担当特別代表時代のカウンターパートだったソン・キム氏が駐インドネシアアメリカ大使として着任し、再び協力関係を築くこととなりました。
駐中国大使としての現在
就任の背景と意義
2023年10月24日、金杉氏は駐中華人民共和国特命全権大使に任命されました。この人事は、「非チャイナ・スクール」（中国語研修を受けていない外交官）からは7年ぶりの駐中国大使就任として注目されました。
同年12月19日に正式に着任した金杉大使は、着任会見で「日本にとって大変重要な国である中国で今回勤務できるということで身が引き締まる思いです」と述べ、日中間の対話促進への意欲を示しました。
主な取り組み
駐中国大使として、金杉氏は以下のような課題に取り組んでいます。
邦人の安全確保
2024年に深圳市や蘇州市で発生した日本人襲撃事件を受け、在留邦人の安全確保を最優先課題としています。2025年6月には福建省トップの周祖翼・共産党委員会書記と会談し、日系企業のビジネス環境整備と在留邦人の安全確保の徹底を要請しました。
経済協力の推進
処理水の海洋放出問題で中国が日本の海産物輸入を停止している問題については、「科学的な知見に基づいて粘り強く話をしていくことが大事」との姿勢を示しています。
日中対話の促進
2023年11月の日中首脳会談を契機として、「対話と協議が進むよう環境を整備できるように努力するのが私の仕事」と述べ、両国関係の改善に向けた対話の環境整備に尽力しています。
最近の活動
2024年8月には日本経済新聞への寄稿で「対中国、経済的な機会を生かせ」と題した論考を発表し、対中リスクを認識しつつも経済協力の可能性を探る必要性を説きました。また、同年9月にはスパイ罪で起訴されたアステラス製薬の社員と面会するなど、邦人保護に積極的に取り組んでいます。
金杉憲治氏の外交スタイル
金杉氏の外交スタイルは、冷静で論理的な交渉姿勢が特徴とされています。同僚や関係者からの信頼も厚く、複雑な国際情勢の中でも現実的かつ建設的なアプローチを取ることで知られています。
また、長年のキャリアで培った幅広い人脈と、アジア外交における豊富な経験が、現在の駐中国大使としての活動に活かされています。
まとめ
金杉憲治氏は、40年以上にわたる外交官としてのキャリアの中で、日本外交の最前線で活躍してきました。内閣総理大臣秘書官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官など要職を歴任し、2023年10月からは駐中国大使として日中関係の改善に取り組んでいます。
複雑化する日中関係において、金杉大使の豊富な経験と冷静な判断力は、両国の建設的な対話を進める上で重要な役割を果たすことが期待されています。邦人の安全確保、経済協力の推進、政治対話の促進など、多岐にわたる課題に取り組む金杉大使の今後の活動に注目が集まっています。
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