日本IBMのトップとして業界をリードしてきた山口明夫氏が、2025年12月16日、経済同友会の新代表幹事に内定しました。2026年1月1日に正式就任する予定です。
この記事でわかること
- 山口明夫氏の詳しい経歴とキャリアの歩み
- 日本IBMでの主な実績と経営手腕
- 経済同友会代表幹事就任の背景と今後の展望
山口明夫氏のプロフィール
山口明夫氏は、1964年8月29日生まれの61歳です。和歌山県出身で、1987年に大阪工業大学工学部を卒業後、同年4月に日本IBMに入社しました。
基本情報
- 生年月日: 1964年8月29日
- 出身地: 和歌山県
- 最終学歴: 大阪工業大学工学部卒業(1987年)
- 現職: 日本アイ・ビー・エム株式会社 代表取締役社長執行役員
山口明夫氏の経歴
エンジニアとしてのスタート
山口氏のキャリアは、日本IBMの技術統括本部ソフトウェア技術本部 第三技術所からスタートしました。
- 金融機関担当のエンジニアとして配属
- MVSやDB2などのOSとミドルウェアの問題解析を担当
- 三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)のシステム開発・保守に従事
山口氏自身が振り返るところによると、「20代はシステムの中身ばかり見ていた」時期であり、技術者としての基礎を徹底的に固めた期間でした。
2000年問題対策のリーダー
1998年には、日本だけでなくアジア地域全体における2000年問題対策を指揮する重要な役割を担いました。この時期の経験が、その後の経営者としての視野を広げることにつながりました。
経営企画への転身
技術者として10年以上の経験を積んだ後、経営企画部門に異動しました。
- 日本IBMの戦略立案に携わる
- マーケティング部門、CFO補佐を歴任
- ソフトウェア製品販売を担うテクニカルセールスの本部長に就任
グローバル経験
2005年には米国に赴任し、IBM本社の役員補佐を務めました。この経験により、グローバル企業の経営手法を直接学ぶ機会を得ました。
金融サービス事業での実績
2007年以降、金融業界に特化した事業で手腕を発揮しました。
- 次世代金融システムプロジェクトに関与
- 2012年に金融サービス事業担当に就任
- グローバル・ビジネス・サービス(GBS)本部で活躍
日本IBM社長就任
昇進の道のり
- 2009年: 執行役員
- 2014年: 常務執行役員
- 2016年: 専務執行役員
- 2017年: 取締役専務執行役員
- 2019年5月1日: 代表取締役社長執行役員に就任
2019年の社長就任は、7年ぶりの生え抜き日本人社長の就任として注目を集めました。それまで3代続いて外国籍のトップが続いていましたが、山口氏の就任により社内の求心力向上と顧客との関係強化が期待されました。
社長としての取り組み
山口氏は日本IBM社長として、以下の分野に注力してきました。
- デジタル変革(DX)支援の推進: 日本企業のDXを加速させるサービスの提供
- AI人材育成: 初心者から上級者まで幅広い教育メニューの提供
- 技術革新: IBM Watsonをはじめとする最新技術の展開
- 企業文化改革: グローバルな視点と日本の実情を融合した経営
経済同友会代表幹事への就任
就任の経緯
2025年12月16日、経済同友会は山口明夫氏を新代表幹事に充てる方針を内定しました。
- サントリーホールディングス元会長の新浪剛史氏の辞任により空席となっていた役職
- 2026年1月1日に正式就任予定
- 任期は選出時から2026年3月までに加え、2026年4月からの2期4年を予定
山口氏は2022年から経済同友会の副代表幹事を務めており、政府の財政制度等審議会の委員なども歴任しています。
日本IBM出身の代表幹事
日本IBM出身の経済同友会代表幹事は、2003〜2006年度の北城恪太郎氏以来、山口氏が2人目となります。これは日本IBMという企業の社会的影響力と、山口氏への期待の大きさを示しています。
山口明夫氏の人物像
謙虚で誠実な姿勢
周囲の評価によると、山口氏は「通常のIBMerとは反対で、どちらかと言えば口下手、プレゼン下手」という特徴があります。しかし、一生懸命な姿勢と地道な努力が顧客から高く評価されてきました。
エンジニア出身の強み
技術者としての経験が、経営者としての強みとなっています。
- 現場の実情を理解した意思決定
- 技術と経営の両面からの問題解決
- 顧客との長期的な信頼関係の構築
学び続ける姿勢
入社当初、金融業界の知識がほとんどなかった山口氏は、「背伸びしても仕方がないので、1つずつお客様に聞いて学んだ」と語っています。この謙虚で真摯な姿勢が、38年間のキャリアを支えてきました。
今後の展望
経済同友会の代表幹事として、山口氏には以下の役割が期待されています。
- 組織の立て直し: 前代表幹事の辞任後、2カ月超にわたり空席だった状況の改善
- 発信力の強化: 経済界の意見を政府や社会に効果的に伝える
- デジタル化の推進: IT業界のトップとしての知見を活かした提言
- 国際的な視点: グローバル経験を活かした経済政策への貢献
経団連、日本商工会議所と並ぶ経済3団体の一つである経済同友会のトップとして、日本経済の発展に大きな役割を果たすことが期待されています。
まとめ
山口明夫氏は、日本IBMでエンジニアとしてスタートし、38年間のキャリアを通じて経営者へと成長してきました。技術者としての経験、グローバルな視野、そして謙虚で誠実な人柄が評価され、日本を代表する企業のトップとなり、さらに経済同友会の代表幹事にまで上り詰めました。
2026年1月からは経済同友会代表幹事として、日本経済の発展に向けた新たな挑戦が始まります。技術と経営の両面に精通した山口氏のリーダーシップが、今後の日本経済にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。






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