2025年12月21日、M-1グランプリ2025で見事優勝を果たしたお笑いコンビ「たくろう」。史上最多の11,521組の頂点に立った彼らの漫才は、独特のリズムと計算されたネタ作りによって生まれています。
この記事でわかること
- たくろうのネタ作りにおける役割分担と制作プロセス
- 赤木裕さんのボケが生まれる背景と特徴
- M-1優勝に至るまでの苦悩と開き直りの軌跡
たくろうとは?プロフィール紹介
たくろうは、2016年3月9日に結成された吉本興業所属のお笑いコンビです。NSC大阪校36期生のきむらバンドさんと、37期生の赤木裕さんによって構成されています。
コンビ名は、きむらバンドさんが憧れる木村拓哉さんの「たく」と、赤木さんが憧れるイチロー選手の「ろう」を組み合わせて名付けられました。
メンバー構成
赤木裕(ボケ担当)
- 生年月日:1991年10月24日
- 出身地:滋賀県
- 趣味:野球、空手、ONE PIECE
- 特徴:おどおどした独特のキャラクター
きむらバンド(ツッコミ担当)
- 生年月日:1990年1月28日
- 出身地:愛媛県
- 趣味:ボートレース、木村拓哉さん鑑賞
- 特徴:質問形式のツッコミで赤木さんを際立たせる
たくろうのネタ作りの特徴
基本的な制作体制
たくろうのネタ作りは、主に赤木さんが担当しています。ネタのベースとなるアイデアや構成を赤木さんが考え、それをふたりで合わせながら完成させていくスタイルです。
赤木さんのボケの源泉
赤木さんのボケは、普段の生活の中で生じたものや考えたことをそのまま使っているという特徴があります。本人も「自然に出てきます。普段の生活で誰かと会話していてもまったく別のこと考えたりしてる時があって、それをそのままネタに使ったりしています」と語っています。
この独特の感性が、会見形式や自己紹介などの設定型漫才に活かされ、観客の予想を裏切るボケを生み出しているのです。
きむらバンドさんの役割
きむらバンドさんは、赤木さんが作ったネタを一緒に練り直し、ツッコミの間や言葉を調整する役割を担っています。質問形式のツッコミを入れることで、赤木さんのおどおどしたキャラクターを最大限に引き立てています。
M-1グランプリへの挑戦と苦悩
7年間の苦しい期間
たくろうは2016年の結成以来、M-1グランプリに毎年出場してきました。2018年に結成2年目で準決勝に進出したものの、その後7年間は準決勝にも進出できない時期が続きました。
赤木さんは優勝会見で「だいぶ長い間、準決にも行けなかったので、僕らの一番の正義は、目の前のお客さんに笑っていただくことだと腹をくくれたのは、大事なことだったのかなと思います」と振り返っています。
開き直りが生んだ転機
かっこいいボケやエッジの効いたネタもやりたかったと語る赤木さんですが、「それは自分たちにはできない、だったらとにかくウケるものを」という開き直りが、彼らの転機となりました。
大阪の劇場では老若男女、いろんな世代の方がフラットに漫才を観てくれます。たくろうを知らない人にも笑ってもらえるネタを磨くことで、徐々に実力を蓄えていったのです。
バイト再開の危機を乗り越えて
赤木さんは会見で「初めて準決に行った年に、バイトを辞められたんですけど、だんだんゆるやかに下っていって……。このままだとバイトを再開しないと、というタイミングだったので、それでがんばれたのかなって。僕はすぐバイトもクビになるので、バイトをするのがすごく嫌だったので……」と、崖っぷちでの優勝だったことを明かしています。
M-1グランプリ2025での勝利
決勝までの道のり
2025年のM-1グランプリでは、3回戦からファーストステージの1本目まで「リングアナ」のネタで勝ち上がってきました。2本目に披露した「ビバリーヒルズ」のネタは11月にできたばかりで、赤木さんは「2本目どうするかを同期の彗星チークダンスの木佐ってやつに相談したら、木佐は『絶対に過去にやった強い、実績のあるネタをしたほうがいいよ!』って言ったんです。だから、優勝した理由は木佐を信じなかったこと」と冗談交じりに語っています。
最終決戦での圧勝
ファーストラウンドを2位で通過したたくろうは、最終決戦でエバース、ドンデコルテと対決。結果は、かまいたち山内さん以外の全審査員から票を獲得する8対1の圧勝となりました。
審査員からは「ハイスピード小声漫才」とも評される独特のテンポと、おどおどしたキャラクターが織りなす笑いが高く評価されました。
たくろうのネタ作りから学べること
目の前の観客を大切にする姿勢
たくろうのネタ作りで最も重要なのは、「目の前のお客さんに笑っていただく」という姿勢です。理想や見栄を捨て、純粋に笑いを追求した結果が、M-1優勝という結果につながりました。
自分の特徴を活かす
赤木さんのおどおどしたキャラクターは、当初はマイナス要素にも見えました。しかし、それを笑いに変える設計をすることで、唯一無二の漫才スタイルを確立しました。
継続の力
7年間の苦しい期間を乗り越え、劇場での地道な活動を続けたことが、彼らの実力を磨き上げました。諦めずに続けることの大切さを、たくろうは体現しています。
まとめ
たくろうのネタ作りは、赤木さんの日常から生まれる独特のボケと、きむらバンドさんの的確なツッコミによって成り立っています。7年間の苦悩の末に掴んだM-1優勝は、「とにかくウケるもの」を追求し続けた結果でした。
2025年12月21日、史上最多11,521組の頂点に立ったたくろう。彼らの漫才スタイルとネタ作りの姿勢は、多くのお笑い芸人や漫才ファンに新たな視点を与えてくれます。今後の活躍にも大いに期待が高まります。




コメント