村井紀之氏が2025年12月24日付で辞職したことが警察庁から発表されました。兵庫県警本部長を務めた村井氏は一体何者で、どのような経歴を持ち、何があったのでしょうか。辞職に至るまでの経緯を詳しく解説します。
この記事でわかること
- 村井紀之氏の経歴と警察庁キャリア官僚としての実績
- 2025年12月24日に辞職した経緯と背景
- 兵庫県警本部長時代の主な活動と評価
村井紀之氏は何者か?経歴と人物像
学歴と警察庁入庁まで
村井紀之氏は兵庫県伊丹市出身で、地元の小学校から名門・灘中学校・高等学校へ進学しました。灘高校は東京大学への進学率が約半数に及ぶ全国屈指の進学校です。
その後、東京大学法学部に進学し、1990年に警察庁へ入庁しました。警察庁キャリア官僚としてのスタートです。
警察官僚としての主な経歴
村井氏は警察庁入庁後、以下のような要職を歴任しました。
- 高知県警警備第一課長
- 福岡県警捜査第二課長
- 大阪府警生活安全部長
- 警察庁生活安全局生活環境課理事官
- 警察庁交通局交通指導課長(全国の交通行政を統括する重要ポスト)
- 内閣官房内閣審議官(サイバーセキュリティ担当、2014~2015年、2021~2023年)
- 青森県警本部長(2019年8月~2021年8月)
- 兵庫県警本部長(2023年3月~2025年3月)
- 中国四国管区警察局長(2025年3月~2025年9月)
サイバーセキュリティ分野での実績
村井氏の経歴で特筆すべきは、内閣官房でサイバーセキュリティ担当の審議官を務めた経験です。2015年に発覚した日本年金機構の情報流出事件では、内閣サイバーセキュリティセンターで実態解明にあたりました。
村井氏は後に、この事件について「世間に与えたインパクトが大きく、サイバー攻撃の恐ろしさを思い知った事件だった」と振り返っています。
兵庫県警本部長時代の活動
地元出身者として初のトップ就任
2023年3月、村井氏は兵庫出身者として初めて兵庫県警本部長に就任しました。着任会見では「かつての警察庁人事では、地元での赴任を避ける慣行があったため、内示を受けた時は心から『ありがたい』と思った」と語り、故郷への恩返しを誓いました。
SNSでの虚偽情報に対する異例の対応
兵庫県知事選挙後、県議を辞職し亡くなった竹内英明氏について「捜査対象になっている」との虚偽情報がSNSで拡散されました。この際、村井氏は県議会の常任委員会で「明白な虚偽」と否定し、県警の公式アカウントで誹謗中傷をやめるよう呼びかけました。
この異例の対応について、村井氏は離任会見で「うそ拡散を止めたかった」と述べ、虚偽情報や誹謗中傷が県政を巡る分断を助長していると危機感を表明していました。
村井紀之氏に何があったのか?辞職に至る経緯
2025年9月の異例の人事変更
村井氏をめぐっては、2025年9月に異例の人事がありました。警察庁は当初、中国四国管区警察局の村井紀之局長が9月8日付で辞職すると公表していましたが、この人事を変更し、同日付で官房付(異動待機)にすると発表しました。
理由は明らかにされていませんでしたが、事実上の更迭と見られていました。
業者からの接待問題が浮上
2025年12月24日、複数のメディアが村井氏と県警幹部が業者から酒類などの提供を受けたとして、警察当局が訓戒や注意などの処分とする方針を固めたと報じました。
報道された内容は以下の通りです。
- 村井氏や県警幹部は神戸市内の焼き肉店で飲食を行った際、店側から酒類の提供を受けたり土産の品を受け取ったりした
- 提供を受けた額は1人あたり数百円から数千円
- 現職の署長の場合、タクシー代なども受けており、計数万円分の利益を得た
- 店の経営者は警備業や古物営業、違法駐車監視の業務などを行う会社を営んでおり、これらの業務は警察や県公安委員会の許可や認定が必要
- 関係会社は県警本部に入る食堂の運営もしていた
店の経営者は国家公務員倫理規程が定める利害関係者にあたり、村井氏や幹部らが得た利益は禁止された供応接待や物品を受ける行為に該当すると判断されました。
2025年12月24日付で辞職
そして同日、警察庁は村井紀之前兵庫県警本部長が12月24日付で辞職したと正式に発表しました。
村井氏は2023年3月に兵庫県警本部長に着任し、2025年3月に中国四国管区警察局長に着任、同年9月8日付で官房付(異動待機)となっていました。
辞職の理由について、警察庁は詳細を明らかにしていませんが、業者からの接待問題との関連が指摘されています。
まとめ
村井紀之氏は1990年に警察庁に入庁した警察官僚で、サイバーセキュリティ分野での実績や、2023年から兵庫県警本部長として地元のために尽力した人物でした。
しかし、2025年9月に中国四国管区警察局長の辞職予定が官房付(異動待機)に変更され、同年12月24日には業者からの接待を受けたことが報じられました。同日、村井氏は警察庁を辞職しました。
警察組織のトップとして公務員倫理が厳しく問われる結果となり、警察幹部と業者との関係性について、より一層の透明性と倫理意識が求められることを示す事例となりました。



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