自民党裏金問題の刑事告発で注目を集める神戸学院大学の上脇博之教授。その活動が共産党との関係や「告発マニア」という評価につながっています。
この記事でわかること
- 上脇博之教授と共産党、しんぶん赤旗との実際の関係性
- 「告発マニア」と呼ばれる理由と告発活動の実態
- 支持と批判の両面から見る上脇教授の評判
上脇博之教授のプロフィール
上脇博之教授は1958年鹿児島県生まれの憲法学者です。神戸学院大学法学部教授として教鞭をとりながら、政治資金オンブズマンの共同代表として20年以上にわたり政治資金問題の調査と告発を続けてきました。
主な経歴
- 1984年:関西大学法学部卒業
- 1991年:神戸大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学
- 2004年:神戸学院大学法学部教授に就任
- 2002年:政治資金オンブズマンを設立
専門は憲法学、政党国家論、国民代表論、政治資金問題で、3浪の末に関西大学に合格した苦労人としても知られています。
共産党との関係性
しんぶん赤旗との協力関係
上脇教授と共産党との関係で最も注目されるのが、しんぶん赤旗日曜版とのつながりです。2023年の自民党裏金問題では、赤旗日曜版のスクープ報道をきっかけに、上脇教授が政治資金収支報告書を調査し直して東京地検に刑事告発を行いました。
この告発が東京地検特捜部の捜査につながり、自民党派閥の裏金問題が明るみに出ることとなりました。上脇教授自身も「赤旗日曜版のスクープがなければ、刑事告発できなかった」と述べています。
共産党への支持表明
上脇教授は共産党への支持を公然と表明しています。2024年の選挙では以下のような発言をしています。
- 「しんぶん赤旗の読者がもっと増え、日本共産党への支持が広がる必要がある」
- 「日本共産党が議席を増やさないと裏金を防止する法律改正はできません」
- 「日本共産党の議席を増やして金権腐敗政治を変えましょう」
2025年7月の参議院選挙では、共産党の政治広告に登場し、日本共産党への投票を呼びかけました。
赤旗からの評価
しんぶん赤旗の創刊95周年および96周年のメッセージでも、上脇教授は寄稿しており、「一般の報道機関とは違う鋭い視点でスクープを出し、社会の厳しい監視役を果たしている」と赤旗を高く評価しています。
さらに、2024年には自民党裏金調査活動に対して、しんぶん赤旗日曜版とともに「日隅一雄・情報流通促進賞2024大賞」を受賞しました。
「告発マニア」と呼ばれる理由
告発活動の規模
上脇教授が「告発マニア」と揶揄される最大の理由は、その告発件数の多さにあります。本人も「数えたことはないが、単純計算で100件は超えるだろう」と述べています。
主な告発事例(2023年〜2025年)
2023年
- 自民党5派閥の政治資金パーティー裏金問題の刑事告発
2024年
- 石破茂首相(当時)の水月会裏金疑惑の告発
- 細田博之氏の公選法違反容疑での告発
- つばさの党代表・黒川敦彦氏らの政治資金規正法違反での告発
- 東京都議会自民党会派の裏金問題での告発
2025年
- 兵庫県の斎藤元彦知事らの地方公務員法違反での告発(6月)
- 林芳正総務相の公選法違反での告発(12月)
- 小泉進次郎防衛相の政治資金規正法違反での告発(12月)
告発対象の偏り
批判的な意見の中で指摘されるのが、告発対象が主に自民党や保守系政治家に偏っているという点です。インターネット上では「活動に政治的な偏りがあるのではないか」という疑念の声も聞かれます。
すべてが起訴されるわけではない
告発が必ずしも起訴につながるわけではないことも、批判の理由の一つです。一部からは「根拠の薄い告発で政治的混乱を招いている」との指摘もあります。
支持と批判の両面
支持者からの評価
支持者からは以下のような称賛の声が上がっています。
- 「政治の腐敗を正す英雄」
- 「国民の知る権利を守る最後の砦」
- 「自民党の裏金問題で真相が闇に葬られることを防いだ」
2024年の衆議院選挙で自民党が15年ぶりに与党で過半数を割ったのは、上脇教授の告発活動がきっかけとなったという評価もあります。
批判的な意見
一方で、以下のような批判的な意見も存在します。
- 告発の多さから「告発マニア」という揶揄
- 告発が必ずしも起訴につながらないことへの疑問
- 特定政党(共産党)との関係性への懸念
- 活動の政治的偏りへの指摘
上脇教授の活動理念
憲法論に基づく活動
上脇教授は自身の活動について「基本的には私の憲法論、議会制民主主義論が影響している」と述べています。現在の選挙制度や政治資金制度が議会制民主主義の名に値していないという考えから、告発活動を続けているのです。
完全比例代表制の主張
上脇教授は「完全な比例代表制にして初めて議会制民主主義が成立する」と主張し、小選挙区制を批判しています。これは共産党の主張とも重なる部分があります。
政治資金制度改革の要求
再発防止策として、以下を求めています。
- 虚偽記入があった場合、会計責任者だけでなく政治家も罪に問える法改正
- 企業献金の禁止
- 政党助成金の廃止
- 政治資金パーティーの中止
これらの主張も、共産党の政策と一致する部分が多くあります。
健康状態と活動継続
過去には大腸の病気を患い入退院を繰り返した上脇教授ですが、2025年も精力的に告発活動を続けています。健康状態が万全ではない中でも活動を継続する姿に、支持者からは尊敬の念が寄せられています。
なぜ体が悲鳴を上げる中で告発をやめないのか、という問いに対して上脇教授は「あきらめたら議員のおもうつぼ」と答えています。
まとめ
上脇博之教授と共産党、特にしんぶん赤旗との関係は明確に存在します。赤旗のスクープを基に告発を行い、共産党への支持を公然と表明し、選挙広告にも登場しています。
「告発マニア」という評価については、100件を超える告発実績と、その対象が主に自民党や保守系政治家に偏っていることから生まれた側面があります。支持者からは「政治腐敗を正す英雄」と称賛される一方、批判者からは「政治的偏りがある」との指摘も受けています。
ただし、上脇教授の活動が日本の政治資金問題に一石を投じ、国民が政治に関心を持つきっかけを作っていることは事実です。2024年の自民党裏金問題では、その告発が東京地検特捜部の捜査につながり、政権交代のきっかけの一つとなりました。
政治の透明性を追求する姿勢は一貫しており、その評価は見る立場によって大きく分かれるのが現状です。




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