2025年11月5日、「現代用語の基礎知識」選 T&D保険グループ新語・流行語大賞のノミネート30語が発表され、「おてつたび」が候補の一つとして選出されました。SNS上でも話題となり、公式アカウントが「おてつたびが、流行語大賞にノミネート」と喜びの投稿をするなど、注目を集めています。
しかし「おてつたび」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。今回は、流行語大賞にノミネートされた「おてつたび」について、その意味やサービス内容、なぜ注目されているのかを詳しく解説します。
おてつたびとは?基本的な意味を解説

言葉の由来
「おてつたび」は「お手伝い」と「旅」を組み合わせた造語です。この言葉自体がサービスの本質を表現しており、地域での短期的な労働と旅行を同時に楽しめる新しいスタイルを意味しています。
サービスの概要
おてつたびは、人手不足に悩む地域の事業者(農家・旅館・ホテルなど)と、働きながら旅を楽しみたい人をマッチングする人材マッチングサービスです。
株式会社おてつたびが運営しており、2018年の創業以来、着実に利用者を増やしています。
おてつたびの特徴と魅力的ポイント
おてつたびの特徴

現地までの交通費は自己負担ですが、旅先で働くことでアルバイト代が得られ、さらに宿泊場所(寮や空き部屋など)が無料で提供されます。給料は受け入れ先によって異なり、時給900円から1000円程度となっています。
期間は求人によって異なり、最短1泊2日から最長2ヶ月未満まで幅広く、参加者の平均滞在期間は約14日間です。
3つの魅力的なポイント

おてつたびには大きく3つのポイントがあります:
- 知らなかった地域に行くきっかけができる
地名を挙げても「どこそこ?」と言われてしまう地域に光を当てたいという想いが込められており、今まで訪れたことのない地域に出会うチャンスが生まれます。 - 地域の方との関係性ができる
仕事という共通言語を通じて地域の方と信頼関係が生まれ、観光だけでは得られない深い交流が可能です。 - 旅費を削減できる
お手伝いをすることで報酬をゲットでき、宿泊費が無料になるため、交通費などの旅費を大幅に削減できます。
急成長する利用者数
登録者数の推移
おてつたびの登録ユーザー数は、2021年に5,000人規模から2025年3月に70,000人超へと飛躍的に増加しました。この驚異的な伸びは、サービスの魅力と社会的ニーズの高まりを示しています。
幅広い年齢層に広がる人気
サービス開始当初は10代から20代の参加者が中心でしたが、2024年には30代以上の参加者も増え、特に50代以上が急増しているという特徴があります。
大学生の割合が高く、若年層は旅費・交通費がボトルネックになりがちですが、おてつたびでは報酬を得られるため金銭的な問題を軽減できます。
また、「人生100年時代」と言われる中、新しい働き方や生き方を模索する中高年層の増加や、経済的自由を得て早期リタイアを目指す「FIRE」への関心の高まりも後押ししています。
なぜ今「おてつたび」が注目されているのか
地方の人手不足という社会課題
代表取締役CEOの永岡里菜氏が2018年に創業し、日本各地の地域課題(観光地や農業分野の季節的な人手不足)に着目しました。永岡氏は三重県尾鷲市出身で、半年間全国を旅する中で「一見何もない地域でも、現地の人との関わりで特別な地域になる」ことを実感したといいます。
関係人口の創出
実際に参加者の約6割が再び同じ地域を訪れるなど、リピーターとなって地域の「ファン」=関係人口になるケースも増えています。これは単なる観光とは異なる、継続的な地域との関わりを生み出しています。
新しい旅のスタイルとして評価
「どこそこ」と言われがちな地域ほど、知り合いや出張等の目的がないと行くキッカケがなく、著名な観光名所がない地域ほど旅費が高騰しがちで選択肢にあがりにくいという課題を、おてつたびは「お手伝い」を旅の目的として解決しています。
受け入れ側のメリット
人手不足の解消
受け入れ側の地域事業者にとっても、繁忙期に全国から労働力を確保できるため大きなメリットがあり、ゴールデンウィークなどの忙しい時期でも、必要な人材をタイムリーに確保でき、人手不足を解消することが可能です。
地域の魅力を発信
地域が抱える「人手不足」という課題を「新たな旅の目的地」として地方への新しい人の流れを生み出しています。参加者が地域の魅力をSNSで発信することで、さらなる観光客の増加も期待できます。
流行語大賞ノミネートの意義
社会的な認知度の向上
2025年11月5日に発表された流行語大賞のノミネート30語に「おてつたび」が選出されたことは、このサービスが単なる旅行スタイルの一つではなく、地方創生や働き方改革という社会的な文脈で評価されていることを示しています。
12月1日の大賞発表に注目
トップテンおよび年間大賞語は12月1日に決定する予定です。「おてつたび」が大賞やトップテンに選ばれるかどうか、今後の発表に注目が集まります。
まとめ
「おてつたび」は、単なる旅行サービスではなく、地方の人手不足という社会課題と、新しい旅のスタイルを求める人々のニーズを結びつけた、時代を象徴するサービスです。
おてつたびを通じて、継続的に関わってくれる「その地域のファン(関係人口)」をつくることで、日本各地に人と想いとお金が巡る世界を目指しています。
流行語大賞へのノミネートをきっかけに、さらに多くの人がこのサービスを知り、新しい旅のスタイルや地域との関わり方を体験する機会が増えることが期待されます。興味を持った方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。




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