現在、東京都議会議員として活躍する佐藤沙織里氏は、かつてNHK党に所属していた過去があります。しかし現在は無所属として独自の政治活動を展開しています。彼女はなぜNHK党に入党し、そして離党したのでしょうか。本記事では、佐藤沙織里都議とNHK党の関係、離党に至った経緯と理由について詳しく解説します。
この記事でわかること
- 佐藤沙織里氏がNHK党に所属していた経緯と時期
- NHK党を離党した理由と背景
- 離党後の活動と現在の政治スタンス
政治活動のスタート:政治家女子48党からNHK党へ
政治家女子48党への参加
佐藤沙織里氏が政治の世界に足を踏み入れたのは、2022年のことです。当初は自民党所属の荒川区議が立ち上げた女性だけの政治団体「政治家女子48党」にコンセプトに共感して参画しました。
この政治団体は女性の政治参加を促進することを目指していましたが、選挙直前に代表が辞任するというトラブルが発生。佐藤氏も進退を考える状況に陥ります。
立花孝志氏からの勧誘
政治家女子48党のアドバイザーを務めていたのが、NHK党(当時はNHKから国民を守る党)の立花孝志党首でした。代表辞任後の混乱の中、立花氏から「ウチから出ない?」と声をかけられたことが、NHK党との関わりの始まりとなります。
佐藤氏はこの誘いを受け入れ、2023年の統一地方選挙(千代田区議選)にNHK党公認候補として出馬することを決めました。
2023年千代田区議選:NHK党からの出馬
選挙結果は惨敗
2023年4月23日に投開票が行われた千代田区議会議員選挙で、佐藤氏はNHK党公認として出馬しましたが、獲得票数は291.3票にとどまり、落選という結果に終わりました。
この時点では、佐藤氏の知名度はまだ低く、政治家としての基盤も十分ではありませんでした。しかし、この敗北が彼女を大きく成長させるきっかけとなります。
支援者の勧めでYouTubeを開始
千代田区議選で惨敗した直後、支援者の勧めでYouTubeでの情報発信を始めます。公認会計士・税理士としての専門知識を活かし、税金の問題や財務省批判、減税政策をわかりやすく解説する動画が徐々に注目を集めるようになりました。
NHK党との理念のズレ
「減税」と「NHK受信料廃止」の違い
佐藤氏がNHK党を離れることになった最大の理由は、政策の方向性における理念の違いでした。
NHK党の主要政策は「NHK受信料の廃止」や「NHKのスクランブル放送化」といった、NHKに特化したものが中心です。一方、佐藤氏が訴えたかったのは「減税」「手取りを増やす」「社会保険料削減」といった、より広範な経済政策でした。
立花氏との方向性の相違
立花孝志氏は当初、公認会計士として年収6000万円とも言われる高収入を捨てて政治に挑戦する佐藤氏の姿勢に驚き、「もったいない」と言ったこともあったとされています。
しかし、活動を続けるうちに、NHK党が掲げる政策と佐藤氏のビジョンとの間に大きな隔たりがあることが明らかになっていきました。佐藤氏は「NHK受信料問題」だけでなく、もっと幅広い税制改革や財政政策に取り組みたいという思いを強めていきます。
離党の決断と時期
2023年後半から2024年初頭にかけての離党
具体的な離党の時期について、佐藤氏自身からの公式な発表は限定的ですが、2024年の衆議院議員選挙では無所属で出馬していることから、遅くとも2024年初頭には離党していたと考えられます。
報道によれば、佐藤氏は「NHK党には理念の違いを感じ」て離党したとされています。この時期、佐藤氏はすでに自身の政治団体「減税党」を設立する準備を進めていました。
円満な離党だったのか
NHK党では過去に、離党者に対して激しい批判や攻撃が行われるケースもありました。しかし佐藤氏の場合、特に大きなトラブルは報じられておらず、比較的穏やかに離党したものと思われます。
立花氏も佐藤氏の能力と行動力は認めていたようで、敵対的な関係にはなっていないようです。
離党後の活動:減税党の設立
2023年:独自の政治団体「減税党」を設立
NHK党を離れた佐藤氏は、2023年に自身の政治団体「減税党」を設立しました。この団体は佐藤氏を党首として、彼女のビジョンである「減税」と「手取りを増やす」を軸とした活動を展開しています。
減税党の特徴は以下の通りです。
- 党費は無料
- 目的に賛同すればだれでも入党可能
- 2025年6月時点で党員数は3,600名
YouTubeでの影響力拡大
NHK党時代から始めたYouTubeチャンネル「さとうさおり 公認会計士」は、離党後も順調に登録者数を伸ばし、2025年10月時点で50万人を超える大規模なチャンネルへと成長しました。
約2年間で400本以上の動画を投稿し、税金問題や財務省批判、減税政策について独自の視点から発信を続けています。
2024年千代田区長選挙:無所属での挑戦
SNSを駆使した選挙戦
2025年2月に実施された千代田区長選挙で、佐藤氏は無所属として出馬しました。この選挙で彼女は、YouTubeやSNSを徹底的に活用する新しい選挙スタイルを確立します。
選挙期間中に20本近くの動画を投稿し、合計再生回数は235万回を超えました。街頭演説の様子は配信者らによって「切り抜き動画」としてネット上に拡散され、若い世代を中心に大きな注目を集めました。
現職に迫る次点
結果は都民ファーストの会副代表・樋口高顕区長が再選を果たしましたが、佐藤氏は善戦し次点となります。選挙最終日の街頭演説には400人以上の聴衆が集まり、彼女の訴えに耳を傾けました。
この選挙での健闘が、次のステップへの大きな足がかりとなります。
2024年衆議院議員選挙:東京1区から出馬
約1万2千票を獲得
2024年の衆議院議員選挙では、東京1区(千代田区・新宿区)から無所属で出馬し、約1万2,000票を獲得する善戦を見せました。落選という結果に終わりましたが、NHK党時代の291票から大きく票を伸ばし、政治家としての実力を示しました。
この選挙でも、全国から約200人のボランティアが集まり、SNSで繋がった支援者たちが選挙活動を支えました。
2025年都議選:遂に初当選
選挙カーなしで現職を破る
2025年6月の東京都議会議員選挙(千代田区選挙区、定数1)で、佐藤氏は無所属として出馬し、見事に初当選を果たしました。
現職の都民ファーストの会副代表・平慶翔氏(タレント・平愛梨の弟)をわずか246票差で破るという大番狂わせでした。選挙カーもなく、マイクとチラシ、SNSだけが武器という選挙戦での勝利は、新しい時代の政治スタイルを象徴するものとなりました。
NHK党時代との比較
- 2023年千代田区議選(NHK党):291票で落選
- 2025年東京都議選(無所属):当選(得票数は現職に246票差で勝利)
この劇的な変化は、佐藤氏がNHK党を離れて独自の路線を歩み始めたことが正しい選択だったことを証明しています。
現在の政治スタンス
無所属都議としての活動
現在、佐藤氏は東京都議会議員として無所属で活動しています。会派については「知事野党が少なすぎる」と発言しており、都政において是々非々の立場を貫く姿勢を示しています。
掲げる政策
佐藤都議が掲げる主要政策は以下の通りです。
- 減税:個人都民税10%減税など
- 社会保険料削減:手取りを増やす政策
- 歳出改革:無駄な税金の使い方を見直す
- 日本の伝統を守る
- 共働き世帯が我慢しない日本を
- 違法外国人ゼロ:外国人土地取得規制の導入など
- 日本の治安を取り戻す
これらの政策は、NHK党の「NHK受信料廃止」といった単一テーマではなく、より包括的な社会改革を目指すものとなっています。
NHK党時代から学んだこと
政治活動の基礎を学んだ期間
NHK党での活動期間は短かったものの、佐藤氏にとって政治の世界を学ぶ貴重な機会となりました。
立花孝志氏のSNS活用術や、既存政党にとらわれない自由な発想は、その後の佐藤氏の活動スタイルに大きな影響を与えています。
独自路線の重要性を認識
一方で、NHK党での経験を通じて、自分の信念に基づいた独自の政治活動の重要性も認識しました。特定の政党の枠に縛られるのではなく、自らの理念を貫くことの大切さを学んだと言えるでしょう。
NHK党との現在の関係
敵対関係にはない
佐藤氏は離党後もNHK党や立花氏を公然と批判することはなく、特に敵対的な関係にはないようです。むしろ、政治活動のきっかけを与えてくれた存在として、一定の敬意を払っているとも考えられます。
別々の道を歩む
現在は完全に別々の道を歩んでおり、NHK党は「NHK受信料問題」を中心に、佐藤氏は「減税」「手取りアップ」を中心に、それぞれの信念に基づいた政治活動を展開しています。
まとめ
佐藤沙織里都議とNHK党の関係は、2023年の千代田区議選で公認候補として出馬した短い期間のものでした。しかし、この経験が彼女の政治家としての基盤を作る重要なステップとなりました。
離党の主な理由:
- 政策の方向性の違い(NHK受信料廃止 vs 減税・税制改革)
- より広範な経済政策に取り組みたいという思い
- 独自の理念を実現したいという意志
離党後、佐藤氏は自身の政治団体「減税党」を設立し、YouTubeで50万人超の登録者を獲得。SNSを駆使した新しい選挙スタイルで、2025年6月には東京都議会議員に初当選を果たしました。
NHK党時代の291票から、都議選での当選へ。この劇的な成長は、佐藤氏が自分の信念に従い、独自の路線を歩み始めたことが正しい選択だったことを証明しています。
現在は無所属の都議として、公認会計士・税理士としての専門知識を活かした鋭い追及で都政に新風を吹き込んでおり、その今後の活動が大いに注目されています。





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