竹中平蔵の“年金廃止”発言とは?炎上したベーシックインカム論を解説

政治
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竹中平蔵氏が“年金廃止”を主張した」という話題がSNSで再び炎上しました。

注目を集めているのは2020年9月23日に放送されたBS-TBSの「報道1930」での提案です。

X上では、少なくとも2020年以前とみられるテレビ報道の切り抜き画像とともに、竹中平蔵氏のベーシックインカム論や生活保護・年金廃止を想起させるポストに言及する投稿が相次いでいます。

この記事では、発言の背景やベーシックインカムの仕組み、炎上理由、そして今また話題になった理由を整理します。

竹中平蔵簡単プロフィール

  • 名前:竹中 平蔵(たけなか へいぞう)
  • 生年月日:1951年3月3日
  • 出身地:和歌山県和歌山市
  • 学歴:一橋大学経済学部卒業、ハーバード大学などに留学経験あり
  • 経歴:日本開発銀行、上智大学教授、慶應義塾大学教授を経て政界へ
  • 政治活動:小泉純一郎政権で経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣などを歴任
  • 現在:東洋大学教授、パソナグループ取締役会長などを務める
  • 専門分野:経済学、政策立案、金融・規制改革
  • 主な著書:『構造改革の真実』『大いなる分岐』など
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竹中平蔵の“年金廃止”発言とは?

きっかけは、2020年9月23日に放送されたBS-TBSの「報道1930」です。

竹中平蔵氏の「月7万円のベーシックインカムを導入すれば年金は不要になる」発言が大きく取り上げられるようになりました。

月7万円を支給する代わりに年金も生活保護も必要なくなる――。元経済財政担当相でパソナグループ会長の竹中平蔵氏(69)がBSの報道番組でこんな「ベーシックインカム」を披露した。

毎日新聞 “月7万円支給で年金も生活保護も不要” 竹中平蔵氏のベーシックインカム論は正しいか 2020年10月4日

ツイッターでは#竹中平蔵は月7万円で暮らしてみろというハッシュタグがトレンド入りしました。

2020年コロナ禍での10万円の現金給付もあり、より話題になったと考えられます。

竹中平蔵氏は2020年以前からインタビューや自身の著書で、ベーシックインカム(BI)について提案しています。

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ベーシックインカムとは?仕組みをわかりやすく解説

ベーシックインカムとは、国民全員に無条件で一定額を支給する制度のことです。

職業や所得に関係なく、誰でも毎月お金を受け取れる仕組みが特徴で、「労働と所得を切り離す」ことが目的がです。

 ――そもそもベーシックインカムの定義はどのようなものでしょうか。

 ◆ベーシックインカムとは、<すべての人に、個人単位で、資力調査や労働要件を課さずに無条件で定期的に給付されるお金>である。これは研究者や市民運動家などでつくる国際NGO「BIEN」が示している定義です。研究者の間では、スタンダードな認識だと言えます。

毎日新聞 “月7万円支給で年金も生活保護も不要” 竹中平蔵氏のベーシックインカム論は正しいか 2020年10月4日

ベーシックインカムのメリット

①ブラック企業や非正規雇用者の減少

労働者の基礎的な収入を確保することで、ブラック企業など過酷な労働環境でも辞められず、過労死限界まで働く必要がなくなります。

②生活保護へのバッシングなし

審査不要の現金給付により、生活保護を受ける人への「甘えている」とのバッシングが無くなります。

また、貧困対策として最低限の生活を保障できるのも利点です。

③手続きの簡素化

生活保護や年金など複雑な制度を一本化できます。

給付対象を選別するなどの無駄な行政コスト削減にもつながります。

ベーシックインカムのデメリット

デメリットは財源の確保です。

国民全員に7万円を配ると、年間で100兆円規模の予算が必要になるとの試算もあります。

現在の国家予算規模に匹敵する額で、財源をどうするかが全く語られていません。

既存の社会保障をすべて置き換えられるのかは大きな課題です。

海外では、フィンランドやカナダ、アメリカの一部自治体でも実験がありますが、完全な形で制度化した国はありません。

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竹中平蔵のベーシックインカム論の問題

竹中平蔵のベーシックインカム論は、以下の理由で「そもそもベーシックインカムにすらなっていない」との声があります。

  • 所得が一定以上の人は後で返してもらう
  • 給付金のみではなく、労働による所得も必要

竹中氏は「所得が一定以上の人は後で返してもらう」と言っており、これは「全国民への無償現金給付」ではなく強制貸付金です。

また、本来のベーシックインカムの目的である「労働と所得を切り離す」ことからもかけ離れています。

「毎月20万円もらえるとなれば、働かない人も増えるでしょう。これが月に7万円なら、不足分を働いて補おうとなります。このようにして、極めて公平な社会保険制度を、新たに作り上げていくべきです。」

『ポストコロナの「日本改造計画」』(PHP研究所)

つまり、毎月の収入7万円で生活できるとは考えていないということ。

このことから、労働による所得は必要で、「働かなくても十分な金額を保障すること」ははじめから想定されていないということになります。

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なぜ炎上した?“年金廃止”発言が批判された理由3つ

竹中氏の発言が炎上した背景は大きく分けて3つの要因があります。

①年金を長年支払ってきた世代の反発

「今さら年金がなくなるなんて不公平だ」という声が強く上がりました。

また、年金は積立金がある「保険制度」で、過去の世代が払った資金がベースです。

「生活保護と同じ扱いにしてBIに吸収」は筋が違うとの意見もあります。

②月7万円では生活できないという現実的な問題

年金や医療、介護の制度がなくなり、7万円だけでは安心できないと批判されました。

日本の生活保護の平均月額支給額約15万円の半分は医療費支給という現状などから見ると、この金額辺りが「生活」というよりは「生存」のための最低ラインとは言えるかもしれない。

東洋経済online 竹中流ベーシックインカムはどこが問題なのか 2020年10月11日

③財源問題

前述したように、誰が負担するのか、増税は避けられないのではないか、と疑念を招きました。

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今また話題になったのはなぜ?

この発言は数年前のものですが、2025年現在もSNSで再び拡散されています。

理由のひとつは、社会保障改革が政治の大きなテーマになっていることです。

年金制度の持続可能性に不安を抱く若者世代が多く、ベーシックインカムの議論と重なり注目を集めました。

まとめ|竹中平蔵“年金廃止”発言が投げかけた課題

竹中平蔵氏の“年金廃止”発言は、ベーシックインカムの可能性を示す一方で大きな批判を呼びました。

年金制度の将来に不安を抱える人が多い今だからこそ、この議論が再燃したのです。

ただし、ベーシックインカムの実現には莫大な財源や制度の再設計が必要です。

現状ではすぐに導入できる仕組みではなく、現実味は薄いといえます。

それでも、この発言は「これからの社会保障をどうするか」という重要な問いを投げかけました。

年金かベーシックインカムかという二択ではなく、より持続可能な制度をどう築くのかが問われています。

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